【足切り対策】行政書士試験の一般知識問題を合格ラインにする勉強方法

行政書士試験を受験する人
行政書士試験で一般知識問題の対策と勉強方法を知りたい。過去問を勉強するだけで大丈夫?一般知識問題の足切りってどういうこと?

行政書士試験は、一般知識問題が出題されます。一般知識問題で基準点をクリアできなければ、その時点で不合格(いわゆる足切り)となります。

筆者
【保有資格】
行政書士試験合格
マンション管理士
宅地建物取引士
管理業務主任者
独学で合格した経験から資格試験のポイント、勉強方法などを解説しています。


全体での合格基準点には達しているのに、一般知識問題ができなかったために不合格になってしまう
ひとがいます。

実は、一般知識問題は対策をしやすい分野が存在します。しっかり事前の対策と本試験で可能な対策を行うことで時間対正答数の効率良い結果を得られます。

独学で行政書士試験に合格した筆者の経験を踏まえて、行政書士試験で出題される一般知識問題で足切りにあわないための対策と勉強方法を解説します。

行政書士のおすすめ通信講座は以下の記事で紹介しています。
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行政書士試験の一般知識問題とは?

行政書士試験法令科目一般知識科目
出題形式5肢選択式+多肢選択式+記述式5肢選択式
出題数46問14問
配点244点56点

行政書士試験は、大きく分けて法令科目と一般知識科目が出題され、一般知識問題は、5つの選択肢から1つの正答を選ぶ出題形式が14問出題されます。合格点は180点(満点は300点)以上ですが、後述の合格基準点(足切り)の設定があります。

【一般知識の出題範囲】
・政治、経済、社会→7問(28点)
・情報通信、個人情報保護→4問(16点)
・文章理解→3問(12点)

行政書士試験における一般知識問題の出題範囲は、大きく3つに分かれます。

1つ目の政治、経済、社会については、新聞などで目にするような政治、経済や社会問題に関する基本的なことから、「日本の最東端の島は?」というようなクイズ王決定戦のような地理の問題まで幅広い知識が問われます。

2つ目の情報通信、個人情報保護は、AI、住民基本台帳ネットワークシステム、不正アクセス防止法やIT用語などが出題される情報通信と個人情報保護に関連する法律(主に個人情報の保護に関する法律)から出題されます。

3つ目の文章理解は、文章を読んで内容について問われたり、ランダムに表記されている段落を正しい順に並び替えた選択肢を選ぶなどの問題が出題されます。簡単に言うと、高校の現代文や大学入試問題の国語試験といった内容です。

行政書士試験試験での一般知識の足切りについて

行政書士試験では、法令科目と一般知識科目に合格基準点が設定されています。たとえ、180点以上を得点したとしても、合格基準点をクリアできなければ、不合格となります。

合格基準点(足切り)とは?

次の要件のいずれも満たした者を合格とする。
(1) 行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が、122点以上である者
(2) 行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点が、24点以上である者
(3) 試験全体の得点が、180点以上である者

一般財団法人行政書士試験研究センターより


法令科目の合格基準点については、考慮しなくてOK
です。というのも、合計180点以上となるためには、法令科目で122点以上必要だからです。可能性としては試験があまりにも難しく、合格点が180点から下げられた場合に該当してくると言えます。

重要なのは、一般知識科目の得点が24点以上必要であることです。

一般知識科目14問(56点)のうち、6問(24点)以上、正答する必要があります。正答率にすると約42%ですので、そこまで難しくないのでは?と思うかもしれませんが、総合点は180点以上でも一般知識問題ができずに不合格となる人がいます。

確実に合格するためには、一般知識科目で常時8問以上は正答できる程度の準備が必要です。

合格基準点(足切り)を回避するための配分

【一般知識科目の得点するべき配分】
・政治、経済、社会
→3/7問(12点)
・情報通信、個人情報保護
→3/4問(12点)
・文章理解
→2/3問(8点)
・合計→8/14問(32点)


一般知識科目については、各分野によって目指すべき正答率が異なります。

【政治・経済・社会】
7問中3問正解できればOK、2問正解でもまずまずです。一般知識問題のうち、政治、経済、社会は、高得点を取ることは難しいといえます。

というのも、出題範囲が広く、高得点を目指そうとすると膨大な勉強時間が必要となります。費やした勉強時間の割に得点にならないため、深入りは厳禁です。

【情報通信・個人情報保護】
4問中3問正解を目指しましょう。その結果、2問正解でも可です。一般知識問題のうち、情報通信、個人情報保護は出題される頻出の法令等が明確なため、学習計画が立てやすいといえます。一般知識問題のうち、費やした勉強時間が点に結びつきやすいため、しっかりと学習して、最低でも2問は正解するようにします。

【文章理解】
3問中2問正解を目指しましょう。できれば、満点を目指します。一般知識問題のうち、文章理解は確実に正解するべき分野です。

というのも、文章理解は試験問題の本文中に答えが確実にあるからです。知っている、知らないという問題性質ではありません。文章を正しく読めて内容を理解できているかが問われる問題です。文章を正しく読む訓練を積むことで高確率で正答できるようになれます。

上記の配分で得点ができれば、14問中8問正解で32点となります。多少、下振れしたとしても6点以上となる計画です。

重要なのは、「情報通信・個人情報保護」と「文章理解」です。

行政書士試験の一般知識対策おすすめ勉強法

一般知識問題の対策、勉強方法について、解説する前に以下を試すことがおすすめです。

[ステップ1]
一般知識の過去問10年分を年度毎(時間は45分)に本気で解いてみる
[ステップ2]
「政治・経済・社会」「情報通信・個人情報保護」「文章理解」 分野別に年度毎の正答数をチェック。
[ステップ3]
「情報通信・個人情報保護」と「文章理解」で両方とも2問以上正解しているか、年度毎の得点が32点以上か見る。

一般知識問題の対策が不要の人もいる

上記の3ステップに当てはまる人は、一般知識問題対策のために多くの勉強をしなくても大丈夫だといえます。

また、得意な分野を確認します。例えば「文章理解」は常に満点か3問中2問以上は正解できるという場合、文章理解の文章を正しく読むための訓練を特別する必要はないと言えます。

高校受験や大学受験で政治経済、地理、現代文の勉強をしっかりしてきた人は、一般知識問題を苦にすることなく得点できることが多いです。

まずは、過去問10年分を解いて自分の実力を知ることが重要です。実力を知ることで、以下で解説する時間配分が変わってくるからです。

一般知識問題の対策に使う勉強時間の配分について

初学者が行政書士試験に合格するためには800時間程度の勉強時間が目安です。800時間の勉強時間を確保できる場合、一般知識問題の対策に使える時間は、100時間程度が上限だといえます。一般知識問題の配点は54点ですので配点の少ない科目より、244点ある法令科目関連の学習に勉強時間を使う必要があります。

とはいえ、一般知識問題は24点という足切りラインがあります。勉強時間の配分については計画を立てて、やみくもに学習しないようにします。

一般知識問題の学習に使える時間を100時間として、配分の目安を円グラフにしました。

政治・経済・社会・・・10時間
情報通信・個人情報保護・・・50時間
文章理解・・・40時間

あくまでも目安のため、例えば文章理解が得意な人は時間配分を少なくして、一般知識科目のその他の分野や法令科目へ時間を配分するようにします。

ただし、政治、経済、科目の分野にはそこまで時間を配分する必要はありません。出題範囲が膨大なため、時間を費やすだけの効果が少ないからです。

一般知識問題の対策に使う勉強時間の多くは、情報通信・個人情報保護(4問出題)と文章理解(3問出題)にあて、合計7問中4問は解くことができるよう対策します。実力で4問を確実に解ける準備をすることで、足切りとなる6問ラインをクリアできる確率が高まります。

一般知識問題(政治・経済・社会)のおすすめ勉強方法

頑張って勉強しないことがおすすめ勉強方法

一般知識問題の政治、経済、社会は、勉強を頑張らないことがおすすめ勉強方法です。

ふざけているように聞こえるかもしれませんが、出題範囲が膨大なため、高得点を狙うことが困難な分野だからです。一般知識問題で足切りにならないためには、政治、経済、社会より、情報通信・個人情報保護、文章理解の分野に勉強時間を費やす方が効率よく得点できます。

極論をいうと、政治、経済、社会は何もしないという手段もありますが、足切りのある一般知識問題では、リスクがあるため、おすすめはしません。基本的な内容を問われる問題も出題されるので、多少は学習したほうが良いです。

・行政書士テキストの政治、経済、社会の基本部分を読む
・公務員試験の時事問題対策書を読む
・直前予想問題集を解く

過去問10年分は解いたのち、基本的制度について、テキストを読んでインプットします。以下で行政書士試験のおすすめテキスト紹介しています。
»行政書士試験のおすすめテキスト

また、一般知識問題は、公務員試験用の教材がおすすめです。なかでも『速攻の時事』は、新聞やニュースで取り上げられる一般常識の話題がコンパクトに解説されているので、試験直前期に流し読み程度でもいいので読むことをおすすめします。

政治、経済、社会の分野は、軽めの勉強で深入りするのは避けた方がよいため、過去問や問題集をやり込むのは得策ではありません。

一般知識問題(情報通信・個人情報保護)のおすすめ勉強方法

・行政書士テキストの基本部分を読む
・過去問題集を繰り返す
・直前予想問題集を解く

一般知識問題のうち、情報通信、個人情報保護は、学習効果が出やすい分野です。情報通信は、用語などの基本的な知識が問われるので、広く浅く勉強することで点につながります。

特にニュースで話題となっている用語は必ず押さえておくようにします。例えば、AIや住民基本台帳ネットワークシステムといったものが過去に出題されました。

個人情報保護については、個人情報保護関連の法律条文を中心にインプットの学習、問題演習でアウトプットの学習という基本的な勉強方法を繰り返すことで知識が定着し、点につながります。個人情報保護の関連法については、テキストや問題集に出ているものは、時間を掛けてでも全て押さえることが重要です。

特に法律の第1条には目的がありますので、まずは法律の趣旨目的を押さえるようにします。というのも、法律の趣旨目的を押さえることで理解度が早くなり、問題演習をするときに細かな部分でわからない問題が出たとしても、出題されている法律の趣旨、目的から正答に導くことができる可能性があがるからです。

一般知識問題で勉強時間を費やすことで点につながる、時間対効果の大きい分野は、情報通信、個人情報保護です。

行政書士試験テキスト、過去問、予想問題集でインプット、アウトプットの学習を繰り返し行い、知識を定着をするようにして、出題4問中3問の正答を目指します。
»行政書士試験のおすすめテキスト・問題集

一般知識問題(文章理解)のおすすめ勉強方法

【解法を身につける】
・行政書士試験対策テキスト
・公務員試験用テキスト
・大学入試の現代文テキスト
【問題演習をする】
・過去問
・公務員試験用問題集

文章理解を制するひとは一般知識問題を制します。

足切りラインの6/14問のうち3問を文章理解で正解できれば、一般知識問題での足切りはまず回避できます。

一般知識問題の文章理解について重要なのは解法です。文章理解の問題は、確実に文章の中から答えが導き出せるように作成されています。答えを導き出すための解法をインプットする学習をしてから、アウトプットの問題演習について、解法を意識して取り組まなければ、どれだけ問題演習をしても力はつきません。
»行政書士試験のおすすめテキスト・問題集

文章理解の問題を勉強しなくても問題を正答できる人は、あらためて学習をしなくても特別意識しなくても解答を導くための解法が身に付いているのです。

解法といっても特別なものではありません。言い換えれば、文章を正しく読むための方法です。文章理解の問題が苦手な人は、文章を正しく読むことができていないだけなのです。

文章理解の解法を学習後、解法を意識して問題演習を行います。時間が掛かっても確実に正解に導く方法で訓練を積むことで、正答できるようになります。

文章理解のテキストと問題集には、行政書士用以外に公務員試験用や大学入試現代文の参考書が有用です。特に文章の正しい読み方、解法を学習するには、大学入試対策の参考書『ゼロから覚醒はじめよう現代文』がわかりやすくておすすめです。問題演習には、行政書士の過去問以外に公務員試験用の『新スーパー過去問ゼミ』(通称「スー過去」)が解法の訓練を積むのに適しています。

行政書士試験の本番での一般知識対策について

行政書士試験の一般知識問題対策は、事前の勉強法だけでなく試験本番での取り組み方も重要です。試験本番の取り組み方次第で足切りラインを越えるかどうかという場合もあり得ます。

【試験は一般知識問題から解く】
1番目.文章理解
2番目.情報通信・個人情報保護
3番目.政治、経済、社会
【時間配分にメリハリをつける】
・文章理解→6〜8分/問
・情報通信、個人情報保護→2〜3分/問
・政治、経済、社会→1〜2分/問

行政書士試験では、一般知識問題から解き始める

行政書士試験の本番では、まず一般知識問題の文章理解から解くことをおすすめします。

なぜなら、試験開始直後の最も集中していて疲れていない状態で、長文を読み内容を整理、理解して集中力を必要とする文章理解を解くことが得点結びつきやすいからです。

行政書士試験は3時間の長丁場です。試験問題を1ページ目から解いて、終盤に文章理解を解くより、少しでも正答の確率をあげるため、試験開始直後に集中して文章理解を解くことがおすすめです。

文章理解→情報通信・個人情報保護→政治・経済・社会の順に解くことをおすすめします。

一般知識問題を解く時間配分はメリハリをつける

行政書士試験の試験問題は法令科目、一般知識科目あわせて60問、試験時間は3時間(180分)です。単純に1問3分で解くと60問で180分となりますが、実際には短い時間で解ける問題や長い時間を掛けて解く問題があります。時間配分には、メリハリをつけることで正答率を最適化することが可能です。

短い時間で解ける問題とは、単に知っているか知らないかを問う問題です。過去の問題で言うと、「島の位置問題」が代表例です。知らなければ時間をかけても無駄なため、勘でマークして終了です。
逆に、時間をかければ解ける問題(正答の可能性が高くなる)の場合には、じっくりと時間を掛けて正答に近づけるようにします。具体的には、「文章理解」の問題です。

文章理解は、1問あたり6〜8分使うのが目安です。筆者は、行政書士試験に合格した際、文章理解3問に24分使って3問とも正解できました。文章理解で確実に正解するには、1問あたりにかける試験時間は長くなります。

情報通信・個人情報保護は、1問あたり2〜3分使うのが目安です。情報通信の問題は、IT用語などの単純に知っているかの問題は短い時間で解答できますが、個人情報保護は関連する法令が多く問題文自体長くなるので、ある程度時間を掛けて解きます。

政治、経済、社会は、1問あたり2分使うのが目安です。一般知識問題の中でも、政治、経済、社会の分野は単純に知らないと答えられない問題が多く、わからなければ時間を無駄にせず諦めることが重要です。浮いた時間を文章理解を解くための時間にあてるようにします。

【行政書士試験一般知識対策の勉強方法】まとめ

・一般知識の足切りラインは、14問中6問以上の正答が必要
・政治、経済、社会の分野は深入りしない
・情報通信、個人情報保護は勉強時間対得点効果が大きい
・文章理解は解法を身につける
・本番の試験では一般知識問題から解く
・本番試験では時間配分にメリハリをつける

行政書士試験には、法令科目と一般知識科目があり、一般知識問題は14問中6問以上正答しないと足切りということになります。

一般知識科目は、「政治・経済・社会」「情報通信・個人情報保護」「文章理解」の3つの分野から構成され、対策を立てやすい分野と対策が難しい分野があります。

【政治・経済・社会】・・・対策困難
【情報通信・個人情報保護】・・・対策しやすい
【文章理解】・・・対策は普通

本試験では、疲労がなく集中力のある試験開始直後に一般知識問題の文章理解から解くことで、少しでも正答の可能性を大きくします。また、試験の時間配分を考え、文章理解などの時間をかけることで正答に近づける問題には多めの時間を確保できるようにします。

法令科目の勉強方法については、下記の記事で解説しています。
»【独学・最短】行政書士試験に効率よく合格するための勉強方法について

また、行政書士試験のおすすめ通信講座は下記の記事で紹介しています。
»【2023年度・通信講座】行政書士試験のおすすめオンライン講座厳選3選

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