【合格率・難易度・勉強時間】マンション管理士試験について【他不動産3資格との比較】

マン管を受験する人
マンション管理士試験の合格率や難易度を知りたいな。
合格するにはどれだけ勉強時間が必要なんだろう…
宅建士や管理業務主任者などの不動産資格との比較も知りたいな。

マンション管理士は、2000年の「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」によって制定された国家資格です。

同じ法律によって管理業務主任者の資格も制定されました。

当記事では、マンション管理士試験の合格率、難易度、合格に必要な勉強時間、他不動産3資格(宅地建物取引士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士)との比較について解説します。

筆者は、管理業務主任者・マンション管理士・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士にすべて独学で合格しています。

マンション管理士試験のことを知って対策をして試験を受験すれば、独学でも最短での合格が可能です。

【合格率・難易度・勉強時間】マンション管理士試験について【他不動産3資格との比較】


マンション管理士試験の合格率の推移

試験の結果データは以下となります。

試験年度 受験者 合格者 合格率

合格基準点

(50点満点)

2001年 96,906人 7,213人 7.4% 38点
2002年 53,317人 3,719人 7.0% 36点
2003年 37,752人 3,021人 8.0% 38点
2004年 31,278人 2,746人 8.8% 30点
2005年 26,184人 1,909人 7.3% 34点
2006年 21,743人 1,814人 8.3% 37点
2007年 19,980人 1,479人 7.4% 36点
2008年 19,301人 1,666人 8.6% 37点
2009年 19,120人 1,444人 7.6% 34点
2010年 17,704人 1,524人 8.6% 37点
2011年 17,088人 1,587人 9.3% 36点
2012年 16,404人 1,498人 9.1% 34点
2013年 15,383人 1,265人 8.2% 38点
2014年 14,937人 1,260人 8.4% 36点
2015年 14,092人 1,158人 8.2% 38点
2016年 13,737人 1,101人 8.0% 35点
2017年 13,037人 1,168人 9.0% 36点
2018年 12,389人 975人 7.9% 38点
2019年 12,021人 991人 8.2% 37点
2020年 12,198人 1,045人 8.6% 36点
2021年 12,520人 1,238人 9.9% 38点

     2020年度試験の合格者1,045人の内訳

     男性 913人(合格率8.6%)
     女性 132人(合格率8.2%)

     平均年齢48.5才    

2020年度マンション管理士合格者の年齢内訳

初年度試験から一貫して、受験者の上位8%前後のラインで合格基準点を設定していることがわかります。

合格者の平均年齢が高いことが特徴としてあります。

2020年度試験の合格者年齢内訳をみると、50〜59歳がボリュームゾーンです。

分譲マンションの管理組合で理事になって受験をする人やマンション管理会社の中堅社員から管理職の人、不動産業界で働いている人のキャリアアップ、自己研鑽として取得している人が多いと推測します。

マンション管理士試験の難易度

マンション管理士は、難関の部類となる国家資格(名称独占資格)です。

しっかりスケジュールを立てて学習しないと合格はできません。

合格率から見た難易度


・試験は相対評価
・合格率はおおむね8%
・合格に必要な正答率はおおむね75%

マンション管理士試験は、相対的点数評価の試験です。

他の受験者との得点によって、上位8%程度のラインになるように合格基準点が決められます。

直近10年間の合格平均点は、36.6点です。

おおむね正答率75%はないと合格できない試験です。

正答率70%では合格できない年が多いので厳しい試験と言えそうです。

試験範囲がほぼ同じ管理業務主任者試験より難易度は上の試験といえます。

必要な勉強時間から見た難易度


・初学者なら600時間が目安
・宅地建物取引士合格者で350時間が目安
・管理業務主任者試験の合格者は有利


取得済みの資格によって必要な勉強時間は変わる

マンション管理士試験合格に必要な勉強時間については、初学者と既習者や他資格を取得済みかで大きく変わります。

初学者は、勉強時間600時間が目安です。

これまで、法律系の学習をしたことのない初学者の場合、かなりの時間を必要とします。特に法律系特有の独特な用語や考え方に最初は戸惑うかもしれません。

宅建士の取得者は、勉強時間350時間が目安です。

宅地建物取引士を取得済みの場合、試験範囲の重なる民法や区分所有法といった分野の勉強時間が削減できます。

民法や区分所有法の分野は、出題数が多いので勉強時間の削減は大きいです。

管理業務主任者の取得者は、勉強時間250時間が目安です。

管理業務主任者の合格者は、マンション管理士試験の合格のため、必要な勉強時間が少なくて済みます。

・試験範囲が管理業務主任者とほぼ同じ
・5問免除が受けられる

マンション管理士試験と管理業務主任者試験の出題範囲は、ほぼ同じです。

では、なぜマンション管理士試験の方がこれほど勉強時間を必要とするのかというと、問題内容の深さ(難しさ)と合格率の低さが理由です。

管理業務主任者試験合格者は、マンション管理士試験において5問免除を受けられます。後述しますが、この制度はとても有利です。

建築士の取得者は、勉強時間300時間が目安です。

建築士取得者は、マンション管理士試験で出題される建物の構造問題や設備問題に強く、学習時間を短縮できます。

勉強時間を短縮できる理由


1.出題範囲が同じ分野の勉強時間を短縮できる
2.立法・制度目的から問題を捉える力がつく

1つは、出題範囲が同じ分野の勉強時間を短縮できることです。

勉強しかことのある分野は、勉強をする必要が少なくなるため、テキストの読み込みの時間を問題演習に当てることができます。

2つは、他資格の勉強で法律の立法・制度趣旨や目的を学ぶことにより、未修学の分野であったとしても、重要論点や箇所について大局的に捉える力がつくことです。

問題の論点がスムーズに整理でき、効率よく学習が進めらることによって勉強時間の短縮が図れます。

5問免除制度が有効

 
 
マンションの管理の適正化の推進に関する法律
(試験)
第七条 試験は、マンション管理士として必要な知識について行う。
2 国土交通省令で定める資格を有する者に対しては、国土交通省令で定めるところにより、試験の一部を免除することができる。

e-GOV法令検索より

マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則
(試験の一部免除)
第四条 管理業務主任者試験に合格した者については、第二条に掲げる試験すべき事項のうち同条第四号に掲げるものを免除する。

(試験の内容)
第二条 前条の基準によって試験すべき事項は、おおむね次のとおりである。
四 マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「法」という。)に関すること。

e-GOV法令検索より

・5問免除になる分野の問題は落とせない
・免除分野の勉強時間を短縮できる
・管理業務主任者に合格すれば免除制度が使える

マンション管理士試験には、5問免除という制度があります。根拠となる法律は、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」の第7条、国土交通省令「マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則」の第4条、第2条4項です。

5問免除を受けるには、管理業務主任者試験に合格していることが必要です。簡単に言うと、問題を解かなくてもマンション管理の適正化法という分野の5問は、正解として扱われます。

この5問は比較的易しい問題のため、マンション管理士試験に合格には落とすことのできない5問といえます。適正化法分野の勉強を省けるため、その分を他の分野の勉強に費やせるというのが大きいです。

マンション管理士試験合格のため、5問免除を利用するのは有効です。

他不動産3資格との比較


・管理業務主任者
・宅地建物取引士
・賃貸不動産経営管理士

マンション管理士、宅地建物取引士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士の資格は、互いに出題範囲が重なる部分も多く、資格の活用に関しても親和性の高い資格です。

2020年度の合格率、簡単な内容と勉強時間の目安を比較表にしました。

資格名

関連の不動産業種

合格率

勉強時間の目安

マンション管理士

マンション組合のコンサル

9.9%
(2021年)

600時間

宅地建物取引士

宅建業者(仲介・売買)

17.9%
(2021年)

300時間

管理業務主任者

マンション管理会社(分譲)

19.4%
(2021年)

250時間

賃貸不動産経営管理士

賃貸物件の管理会社

31.5%
(2021年)

150時間

必要な勉強時間については、初学者の目安です。

複数の資格を持っていると、重なる出題範囲が増えるので、合格までの勉強時間はずっと短縮できることになります。

上記、4つの資格を比較すると、賃貸不動産経営管理士は易しいといえます。

ただし、賃貸不動産経営管理士は2021年に国家資格化されます。近年難化傾向にあり、管理業務主任者と同等レベルになる可能性があります。

賃貸不動産経営管理士取得を予定している人は、早めの受験をおすすめです。

マンション管理士は、管理業務主任者とほぼ同じといえる出題範囲です。

何が決定的に異なるかというと、内容が全体的に問題が難しくなるうえ、合格率が一桁という点から、管理業務主任者よりもかなり難しい試験となります。

特に初学者からマンション管理士合格を目指す人は、相当の覚悟を持って学習を進める必要があります。

上記資格のうち、管理業務主任者・マンション管理士・宅地建物取引士の3つを取得することを「不動産三冠資格」「トリプルクラウン」と言われたりします。

三冠を目標としている人は、最短ルートでの合格方法に関する以下の記事を参考にしてください。
»【トリプルクラウン】不動産三冠資格を取得する最短ルートの合格方法

まとめ


・合格率はおおむね8%
・難易度は難しい
・勉強時間は600時間
・不動産の他資格と親和性あり

マンション管理士は、初学者でもしっかりと学習スケジュールを立てて勉強することで、独学合格できる資格です。

初学者でマンション管理士を受験するなら、マンション管理士試験対策管理業務主任者試験も同年度にセットで受験することがおすすめです。

とはいえ、初学者がいきなりマンション管理士試験を目指すのは、ハードルが高いので、管理業務主任者や宅地建物取引士を後々、取得予定であれば、マンション管理士は後回しにするという選択もありだと思います。

マンション管理士に合格するためのロードマップは以下の記事で解説しています。
»【完全版】マンション管理士試験に合格するためのロードマップを徹底解説

マンション管理士試験に独学で受験するときにおすすめのテキスト・問題集を以下の記事でご紹介していますので参考にしてください。
»【2022年・独学】マンション管理士におすすめテキスト・問題集13選

独学ではちょっと厳しいかなという人には、オンライン講座がおすすめです。
»【2022年度】管理業務主任者・マンション管理士の通信講座おすすめ厳選3選

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