マンション管理士試験の概要【資格者のできること・試験科目・出題形式】

マン管について知りたい人
マンション管理士ってどんな資格なんだろう…
マンション管理士ができることを知りたいな。
試験には、どんな問題が出るのだろう…

マンション管理士は、分譲マンションに関する国家資格(名称独占資格)です。

簡単に言うと、分譲マンションの管理組合の運営について、専門的知識をもって相談に応じるコンサルタントの資格といえます。

マンション管理士の資格について、よくわからないという人は、ぜひ最後まで読んでください。

当記事では、マンション管理士に独学で合格した筆者がマンション管理士試験の概要を解説します。資格のことを知ることが受験を考えている人にとって、合格への第一歩となります。

 

マンション管理士試験の概要【資格者のできること・試験科目・出題形式】


マンション管理士の資格は2000年に成立


マンションの管理の適正化の推進に関する法律

第2条5 マンション管理士 第30条第1項の登録を受け、マンション管理士の名称を用いて、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されているものを除く。)とする者をいう。

e-Gov法令検索より

マンション管理士の資格については、2000年に制定された「マンション管理の適正化の推進に関する法律」(以下、マンション管理の適正化法)に規定があります。

この時に同時に管理業務主任者という資格もできました。

マンション管理士を受験しようとする人は、聞いたことのある資格かもしれません。試験内容もほぼ同じの姉妹資格のような存在だからです。

マンション管理士試験の内容

マンション管理士試験の内容は、以下の通りです。

試験日程(2022年度)

例年、11月の最終週の日曜日が試験日となります。

ちなみに12月の第1週目の日曜日が管理業務主任者の試験となりますので、2週連続で受験するという人もいます。

試験日程(2022年度の場合)  
官報公告(試験実施要項のお知らせ) 2022年6月3日(金)
受験申込案内配布期間 2022年8月1日(月)〜2022年9月30日(金)
受験申込受付期間 2022年9月1日(木)〜2022年9月30日(金)
試験日 2022年11月27日(日) 13:00〜15:00
合格発表日 2023年1月5日(木)


受験申込は、必要書類を郵送
となります。

申込最終日の当日消印まで有効ですが、余裕をもって申し込みましょう。

ネット申込はできないため注意してください。

試験地

試験地は、札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪市、広島市、福岡市、那覇市及びこれらの周辺地域です。

受験申込時に試験地は選べますが、試験会場を選ぶことはできず、受験票が届くまで、どこの会場になるかはわかりません。

試験会場として選ばれることが多いのは大学キャンパスです。

マンション管理士試験の翌週に実施される管理業務主任者と同じ試験会場になることもあります。

受験要件

マンション管理士試験の受験をするために特別な要件・資格はありません。

年齢、学歴など関係なく、誰でも受験できます。

合格後の登録要件

試験に合格後、マンション管理士として登録をしようとする場合、以下の6つの要件に該当する人は、登録ができません。

マンションの管理の適正化の推進に関する法律

(登録)
第30条 マンション管理士となる資格を有する者は、国土交通大臣の登録を受けることができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、この限りでない。
1 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
2 この法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
3 第三十三条第一項第二号又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
4 第六十五条第一項第二号から第四号まで又は同条第二項第二号若しくは第三号のいずれかに該当することにより第五十九条第一項の登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
5 第八十三条第二号又は第三号に該当することによりマンション管理業者の登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者(当該登録を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しの日前三十日以内にその法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。第三章において同じ。)であった者で当該取消しの日から二年を経過しないもの)
6 心身の故障によりマンション管理士の業務を適正に行うことができない者として国土交通省令で定めるもの


e-Gov法令検索より

上記に該当する人は、試験に合格してもマンション管理士として登録はできません。

試験の合格者としては有効なため、上記の要件が解消されれば、登録をすることができるようになります。

受験料

受験料は、9,400円(非課税)です。

管理業務主任者試験の受験料には、消費税がかかりません。

資格試験の受験料に対する消費税の取扱については以下の記事で詳しく解説しました。非課税の理由を知りたい方は参考にしてください。
»【課税・非課税】資格試験の受験料と消費税の関係【国家資格・民間資格】

試験の出題範囲

出題範囲は、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則」(以下、施行規則)第2条の規定に基づきます。

マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則

(試験の内容)
第2条 前条の基準によって試験すべき事項は、おおむね次のとおりである。
1 マンションの管理に関する法令及び実務に関すること(第四号に掲げるものを除く。)。
2 管理組合の運営の円滑化に関すること。
3 マンションの建物及び附属施設の構造及び設備に関すること。
4 マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「法」という。)に関すること。

e-Gov法令検索より

想定される出題内容は、以下の通りです。

マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則第2条で規定されている項目 想定される管理業務主任者試験の内容
1.マンションの管理に関する法令及び実務に関すること

建物の区分所有等に関する法律、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法、 マンションの建替え等の円滑化に関する法律、民法(取引、契約等マンション管理に 関するもの)、不動産登記法、マンション標準管理規約、マンション標準管理委託 契約書、マンションの管理に関するその他の法律(建築基準法、都市計画法、消防法、 住宅の品質確保の促進等に関する法律等) 等

2.管理組合の運営の円滑化に関すること 管理組合の組織と運営(集会の運営等)、管理組合の業務と役割(役員、理事会の役割 等)、管理組合の苦情対応と対策、管理組合の訴訟と判例、管理組合の会計 等
3.マンションの建物及び附属施設の構造及び設備に関すること マンションの構造・設備、長期修繕計画、建物・設備の診断、大規模修繕 等
4.マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること マンションの管理の適正化の推進に関する法律、マンションの管理の適正化に関する 指針 等

国土交通省HPより

出題形式・出題分野(出題科目)・出題数


・出題形式は4肢選択式試験のマークシート方式
・出題分野は法令、管理実務・会計、建築・設備系
・出題数は50問

出題形式は、四肢択一のマークシート方式です。

出題分野は、法令分野から4科目(マンション管理の適正化法・区分所有法等、標準管理規約、民法その他の法令)管理実務・会計分野から2科目(管理事務、会計)建築・設備系分野から2科目(建築・設備、設備系法令)です。

2020年度試験出題をまとめた一覧です。

【法令】(32問)

出題科目 出題数
マンション管理の適正化法 5問(免除規定の対象)
区分所有法等 11問
標準管理規約 9問
民法その他の法令 7問

【管理実務・会計】(3問)

出題科目 出題数
管理実務 1問
会計 2問

【建築・設備系】(15問)

出題科目 出題数
建築・設備 11問
設備系法令 4問

免除制度について

マンション管理士試験は、一部免除制度があります。

管理業務主任者試験に合格している人であれば、マンション管理士試験の申込時に一部免除の申請をすることにより、マンション管理の適正化法の5問が免除(正解として扱われる)となります。

合格率

直近、5年間分の結果です。

年度受験者数合格者数合格率合格基準点
2017年13,037人1,168人9.0%36点
2018年12,389人975人7.9%38点
2019年12,021人991人8.2%37点
2020年12,198人1,045人8.6%36点
2021年12,520人1,238人9.9%38点
2022年12,209人1,402人11.5%40点

合格率は10%前後となります。

合格基準点は50問中38点前後のため、正答率76%程度が必要になる試験です。

合格率・難易度については、以下の記事で解説しています。詳しく知りたい人は、参考にしてください。
»【合格率・難易度・勉強時間】マンション管理士試験について【他不動産3資格との比較】

マンション管理士の役割


・管理組合等への助言、指導その他の援助
・マンション管理士は名称独占資格
・他の資格や経験との掛け合わせが必要


【管理組合等への助言、指導その他の援助をする】

マンション管理士の業務は、「マンション管理士の名称を用いて、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと」(適正化法2条5)です。

簡単にいうと、分譲マンションの所有者へのコンサルティングです。

ただし、上記の相談に対する助言といった業務自体はマンション管理士の独占業務ではありません。

マンション管理士以外の人でもできることです。

ポイントは、「マンション管理士の名称を用いて」という部分です。

【マンション管理士は名称独占資格】

マンション管理士は、名称独占資格です。簡単に言うと、マンション管理士と名乗れる資格です。

マンション管理士として登録をしていない人がマンション管理士と名乗ることは、適正化法で禁止されています。

マンションの管理の適正化の推進に関する法律

(名称の使用制限)
第43条 マンション管理士でない者は、マンション管理士又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない。

e-Gov法令検索より

マンション管理士と同様に国家資格である宅地建物取引主任者や管理業務主任者は、業務独占資格であり、有資格者でないとできない業務があります。

この点が、マンション管理士とは異なります。国家資格の業務独占資格・名称独占資格等については、下記の記事で解説しています。
»【不動産資格】国家資格と民間資格について【宅建士・管業・マン管】


【他の資格や経験との掛け合わせが必要】

マンション管理士に合格しても、これだけで活躍するのは難しいです。

当然、分譲マンションの運営に詳しい専門家ではあるのですが、マンション管理の実務経験やその他の資格での経験との掛け合わせがあって効果を発揮する資格だといえます。

たとえば、下記のようなケースが考えられます。

・分譲マンションの管理会社で長年勤務してきた人が、マンション管理士として活躍する

・建築士の人がマンション管理士資格を得て、活躍する

・弁護士の人がマンション管理士資格を得て、管理組合などの人に助言する

他の主たる資格とのダブルライセンスや実務経験があってマンション管理士として活躍するケースが多いといえます。

とはいえ、分譲マンションの所有者でマンション管理士の勉強をすることは、マンションの運営や規約などに詳しくなり非常に有益といえ、自己研鑽やスキルアップのためにマンション管理士の取得を目指すのはおすすめです。

あくまでも、マンション管理士を業務として活躍するためには、他の資格や実務経験との掛け合わせが必要ということです。

まとめ


・マンション管理士は名称独占資格
・専門的知識で管理組合などに助言をする業務
・合格率8%前後
・マークシート方式で正答率75%必要
・他の資格や経験の掛け合わせ

マンション管理会社に勤務している人は、資格手当が付いたり、管理職登用の要件になっていたりする資格でもあります。

・マンション管理士として活躍したい

・マンション管理会社に勤務している

・不動産業界で働いている、これから働こうと関心のある人

・分譲マンション所有者、管理組合の理事になる

・自己研鑽

取得の目的はいろいろです。

マンション管理士は、学びの多い資格ですのでおすすめです。

特にマンション管理士、宅地建物取引士、管理業務主任者の3つを取得することは、不動産3冠資格と呼ばれています。
最短ルートで狙う方法は下記の記事で解説をしています。
»【トリプルクラウン】不動産三冠資格を取得する最短ルートの合格方法

マンション管理士に合格するためのロードマップは以下の記事で解説しています。
»【完全版】マンション管理士試験に合格するためのロードマップを徹底解説

以下の記事は、おすすめのテキスト・問題集です。独学で合格を目指す人は、参考にしてください。
»【2023年・独学】マンション管理士におすすめテキスト・問題集13選

独学は、ちょっと厳しいかなという人には、オンライン講座を検討してみるのがおすすめです。
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