
毎年、20万人超え。これは宅地建物取引士試験の受験者数です。東京都台東区の人口が約21万人、島根県の県庁所在地松江市の人口が約20万人と言えば、どれほど多くの人が宅建士を受験しているかイメージできるはず。
直近の2022年度試験では、受験者数226,048人に対して合格者数38,525人の合格率約17%でした。100人中17人しか合格できない国家資格の宅地建物取引士。決して簡単な試験ではありません。
宅建士の合格自体すごいことなうえ、合格後に宅建士として登録することで食いっぱぐれないのがすごいことです。
当記事では、宅建士合格がすごい理由をわかりやすく解説します。

・宅地建物取引士
・マンション管理士
・管理業務主任者
すべて独学で合格した経験をもとに解説します。
宅建士の合格するためのロードマップについては、以下の記事で解説しています。
»【完全版】宅地建物取引士に合格するためのロードマップを徹底解説
宅建士試験に合格はすごい3つの理由
- 合格率15%前後の国家資格
- 宅建業者に設置義務と独占業務がある
- 不動産業者以外の業種でも必要とされる
20万人が受験して合格率15%前後の国家資格
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 合格率 (5問免除あり) | 合格点 |
2020年 (10月実施) | 168,989 | 29,728 | 17.6% | 19.6% | 38 |
2020年 (12月実施) | 35,258 | 4,609 | 13.1% | 10.7% | 36 |
2021年 (10月実施) | 209,749 | 37,579 | 17.9% | 21.3% | 34 |
2021年 (12月実施) | 24,965 | 3,892 | 15.6% | 無し | 34 |
2022年 (10月実施) | 226,048 | 38,525 | 17.0% | 17.3% | 36 |
宅地建物取引士は、毎年20万人以上が受験して合格率が15%前後の国家資格です。
高校のクラスを思い浮かべてください。1クラスに40人の学生がいたとすると合格できるのは6人となります。非常に狭き門ということがイメージできるはずです。
宅建士は相対評価の試験です。つまり、これだけの点数を取れば合格という絶対評価の試験ではなく、上位15%前後になるラインが合格基準点となります。
宅建士の試験はマークシートだから簡単と勘違いしている人がたまにいますが、おおよそ上位15%以内が合格できる試験のため、マークシートだから簡単というのは間違いだといえます。
問題が簡単であれば合格基準点は高くなり、逆に問題が難しければ低くなります。結局、上位15%以内になる必要があるため、学習をしっかりした人が合格できる試験です。
宅建業者に必要な国家資格|設置義務と独占業務
- 宅建業者には宅地建物取引士の設置義務がある
- 宅建業者は事務所ごとに業務に従事する人の5人につき1人以上の成年かつ専任で従事する宅地建物取引士を設置義務がある
宅建業者、簡単に言うと土地や建物の売買や賃貸をする不動産会社には宅建士を設置する義務があります。根拠となる法律は「宅地建物取引業法第31条の3」です。
宅地建物取引業法
第三十一条の三 宅地建物取引業者は、その事務所その他国土交通省令で定める場所(以下この条及び第五十条第一項において「事務所等」という。)ごとに、事務所等の規模、業務内容等を考慮して国土交通省令で定める数の成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならない。
2 前項の場合において、宅地建物取引業者(法人である場合においては、その役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。))が宅地建物取引士であるときは、その者が自ら主として業務に従事する事務所等については、その者は、その事務所等に置かれる成年者である専任の宅地建物取引士とみなす。※赤文字は当記事によるものです。
さらに、上記赤文字の国土交通省令は「宅地建物取引業法施行規則」のことを指しています。宅建士の人数については、宅地建物取引業法施行規則で定められています。
宅地建物取引業法施行規則
第十五条の五の三 法第三十一条の三第一項の国土交通省令で定める数は、事務所にあつては当該事務所において宅地建物取引業者の業務に従事する者の数に対する同項に規定する宅地建物取引士(同条第二項の規定によりその者とみなされる者を含む。)の数の割合が五分の一以上となる数、前条に規定する場所にあつては一以上とする。
※赤文字は当記事によるものです。
宅建業者は、法律の宅建業法で宅建士の設置義務→国土交通省令の宅建業法施行規則で5人につき1人という必要な宅建士の人数が定められています。
宅建業者の中には、5人につき1人という宅建士の人数をクリアするのがギリギリということがあるため、宅建士は重宝されます。
- 宅地建物取引士の独占業務は3つある
- ・重要事項の説明
・重要事項説明書への記名
・契約書への記名
※2022年5月18日施行の改正宅地建物取引業法により、宅建士による重要事項説明書と契約書への押印は無くなりました。
重要事項の説明とは、不動産取引において契約締結前に契約内容を取引相手に説明すること。契約を締結する前に当該不動産取引の詳細な内容を説明することで、契約後のトラブルを未然に防ぐために行います。
取引相手は重要事項説明を受けて、契約内容に不満や思っていた内容と違うなどがあれば、契約をしないという選択ができます。
該当する法律は、宅地建物取引業法35条です。
宅地建物取引業法(重要事項の説明等)
第三十五条 宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。
※赤文字は当記事によるものです。
重要事項の説明は、宅建士だけができる業務です。以前は、取引相手と対面での説明が必要でしたが、オンラインによる重要事項説明もできるようになりました。
現在では、対面とオンラインでの重要事項説明が行われていますが、どちらも宅建士が説明をします。
重要事項説明書への記名は、上記の重要事項説明書に記載する宅地建物取引士の氏名を宅建士が記名すること。重要事項説明を宅建士の誰がしたかを明確にするためです。記名をするのも宅建士の独占業務です。
以前は重要事項説明書へ「記名」と「押印」でしたが、2022年5月18日に施行された改正宅地建物取引業法により、「押印」は無くなり「記名」のみになりました。
該当する法律は、宅地建物取引業法35条の5です。
宅地建物取引業法
5 第一項から第三項までの書面の交付に当たつては、宅地建物取引士は、当該書面に記名しなければならない。
※赤文字は当記事によるものです。
契約書への記名とは、重要事項説明後の契約が成立したときに交付される契約書面へ宅建士が記名をすること。宅建業法35条の重要事項説明書と区別して37条書面と呼ばれたりします。
契約書への記名についても重要事項説明書と同様に宅建士の独占業務です。
以前は契約書面へ「記名」と「押印」でしたが、2022年5月18日に施行された改正宅地建物取引業法により、「押印」は無くなり「記名」のみになりました。
該当する法律は、宅地建物取引業法37条です。
宅地建物取引業法(書面の交付)
第三十七条 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関し、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
3 宅地建物取引業者は、前二項の規定により交付すべき書面を作成したときは、宅地建物取引士をして、当該書面に記名させなければならない。
※赤文字は当記事によるものです。
宅建士は不動産会社以外でも必要とされる
宅建業以外の業種 × 不動産知識
宅建士は不動産会社(宅建業者)だけに必要だと思うのは間違い。確かに、宅建業を営むときには宅建士が必須です。とはいえ、不動産を業務で扱うのは、宅建業者に限定されません。
例えば、銀行などの金融関係は不動産取引に関わることがあります。IT、Webサービス企業であっても不動産会社との取引や不動産関連のソフトウェア開発の場合、不動産取引の知識が必要とされるので宅建士を取得していると有利になるケースは多くあります。
宅建業者以外の業種においても宅建士取得が奨励されているので、不動産取引に関わる業種で働く人にも宅建士はおすすめの資格です。
宅建士に登録すると食いっぱぐれない3つの理由
- 求人が多い
- 資格手当がある
- 独立開業できる
求人が多い|宅建業者は宅建士が不足しがち
全国には125,638業者が存在(2020年3月末)
不動産会社は大企業から零細企業まで、数多くの会社があります。具体的には、2020年3月末日の時点で宅建業者は、125,638業者が存在します。(国土交通省HP参照)郵便局が約23,000局、コンビニが約58,000店舗ということから、不動産会社は非常に多いことがわかります。
リクナビ、マイナビなどの新卒就職サイトや転職サイトをみると多くの不動産会社の求人が出ています。
不動産会社の中には、宅建士の人数を確保することが急務の会社もあるため、宅建士持ちというだけで大きなアドバンテージとなる場合があります。
資格手当がある|1万〜3万円程度が多い
宅地建物取引士の資格手当は月に1万〜3万円が主流
不動産会社(宅建業者)では、宅建士の有資格者には資格手当が付くケースがほとんどです。つまり宅建士持ちの場合、それだけで年収が大きく変わります。
また、宅建士には、専任登録という制度があります。専任登録とは、宅建業者の事務所に必ず設置する必要のある宅建士として登録することです。
専任登録をする場合には、資格手当が増額されるという不動産会社もあります。例えば、専任登録のない宅建士は1万円/月。専任登録の宅建士は2万円/月などです。
経験を積んで独立、開業可能
宅建士なら1人で宅建業を開業可能
不動産業界は独立、開業がしやすい業種と言えます。というのも、不動産の売買や賃貸など仲介をメインにする場合、他人の不動産を紹介して手数料を得るというビジネスモデルだからです。
設備投資に多額の費用は不要で在庫のリスクも無し。固定費が少なくて済むというのが魅力です。
自分が宅建士の資格持ちであれば、事務所に設置する専任の宅建士として登録できるので、1人でも独立開業することが可能。全国で宅建業者が125,638業者(2020年3月末)あることからも多くの人が宅建業を営んでいることがわかります。
宅建士に合格するために必要な学習時間
宅建士に合格するための学習時間の目安は300時間
初めて宅建士の受験をする人が合格するために必要な学習時間の目安は300時間。毎日2時間勉強した場合、5ヶ月という勉強期間が必要です。
宅建士の試験は、毎年10月3週目の日曜日に実施されます。合格者の勉強期間としては、半年ほど前から始める人が多く、1〜2ヶ月の短期間で合格するのは困難な試験です。
特に働きながら宅建士に合格を目指す人が多いため、勉強時間の確保が大きな壁となります。また、初めて宅建士の試験を受験する人でこれまで法律の勉強をしたことがない人にとって、法律独特の言い回しや法律用語は難しく感じるはず。
初学者の人は、余裕を持って試験勉強に取り組むようにすることで1発合格できます。
宅建士のおすすめ参考書は以下の記事で紹介しています。
»【2023年度・独学】宅地建物取引士試験のおすすめテキスト・問題集20選
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- 通信講座ならいつでもどこでも自分の都合にあわせて受講可能
- 最短での合格を目指すから、独学より勉強時間を短縮できる
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宅建士のおすすめ通信講座は以下の記事で紹介しています。
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