宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士が業務管理者となるための要件

2020年6月12日に国会で可決成立決された「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」によって賃貸住宅管理業者が必置しなければならなくなる業務管理者に関する記事です。

業務管理者になるための要件について解説します。

結論、業務管理者になるには、以下の3通りのどれかが必要です。

・2020年以前の賃貸不動産経営管理士試験合格者で登録済+移行講習修了者
・2021年以降の賃貸不動産経営管理士合格者+2年以上の実務経験
・宅地建物取引士+2年以上の実務経験+管理業務に関する講習修了

※2年間の実務経験の代わりに実務講習修了もあり


宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士が業務管理者となるための要件


2020年6月12日に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が可決成立した法律に業務管理者に関する条文があります。

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律


法律の中身としては、大きく2つのパートに分かれます。

・サブリースにおける広告や勧誘について
・賃貸住宅管理業の登録制度について

業務管理者に関するのは、賃貸住宅管理業の登録制度のパートになります。

賃貸住宅管理業の登録制度に関しては、2021年6月15日に施行されます。

賃貸管理業をしている会社は、国土交通省への登録と業務管理者を事務所に置かなければならなくなります。(法律の1年間の経過措置と管理戸数200戸未満は対象外となる)

業務管理者とは


業務管理者は、賃貸住宅の管理業務について安定して円滑に業務が行われるために事務所ごとに必要とされます。

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律

(業務管理者の選任)
第十二条
賃貸住宅管理業者は、その営業所又は事務所ごとに、一人以上の第四項の規定に適合する者(以下「業務管理者」という。)を選任して、当該営業所又は事務所における業務に関し、管理受託契約(管理業務の委託を受けることを内容とする契約をいう。以下同じ。)の内容の明確性、管理業務として行う賃貸住宅の維持保全の実施方法の妥当性その他の賃貸住宅の入居者の居住の安定及び賃貸住宅の賃貸に係る事業の円滑な実施を確保するため必要な国土交通省令で定める事項についての管理及び監督に関する事務を行わせなければならない。

e-Gov法令検索より

業務管理者となるための要件


業務管理者となる要件の根拠は、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の第12条4項です。

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律

第十二条
4 業務管理者は、第六条第一項第一号から第七号までのいずれにも該当しない者で、賃貸住宅管理業者の営業所又は事務所における業務に関し第一項に規定する事務を行うのに必要な知識及び能力を有する者として賃貸住宅管理業に関する一定の実務の経験その他の国土交通省令で定める要件を備えるものでなければならない。

e-Gov法令検索より


赤文字に部分が根拠部分となります。

法律に業務管理者の要件がズバリと書いてあるのではなく、一定の実務経験者で国土交通省令で定められることになります。

2021年4月21日に定められた国土交通省令が下記となります。

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行規則

第14条
第14条法第12条第4項の国土交通省令で定める要件は、管理業務に関し2年以上の実務の経験を有する者又は国土交通大臣がその実務の経験を有する者と同等以上の能力を有すると認めた者で、次の各号のいずれかに該当するものであることとする。
1 法12条第4項の知識及び能力を有すると認められることを証明する事業(以下「証明事業」という。)として、次条から第29条までの規定により国土交通大臣の登録を受けたもの(以下「登録証明事業」という。)による証明を受けている者
2 宅地建物取引士(宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第2条第4号に規定する宅地建物取引士をいう。第17条第1項第2号ロにおいて同じ。)で、国土交通大臣が指定する管理業務に関する実務についての講習を修了した者

国土交通省HPより

施行規則第14条から、管理業務について2年以上の実務経験(もしくは実務経験に代わる実務講習修了者)に加えて、下記のどちらかが必要です。

1、2021年以降に実施される賃貸不動産経営管理士合格者
2、宅地建物取引士で管理業務に関する実務についての講習修了者

注意が必要なのは、宅地建物取引士で管理業務の実務経験がない場合です。

この場合、2年以上の実務経験に代わる実務講習に加えて、管理業務に関する実務についての講習という2つの講習を修了する必要があります。

似たような講習に見えますが、別の講習となります。

このほか、2020年以前の賃貸不動産経営管理士試験合格者で賃貸不動産経営管理士の登録をしている人は、2時間程度の移行講習を修了することで、2年以上の実務経験+適正化法12条第4項の知識及び能力を有すると扱われるため、業務管理者の登録要件を満たすことができます。


まとめ


管理業務者になるための要件については、3通りのパターンがあります。

・2020年以前の賃貸不動産経営管理士試験合格者で登録済+移行講習修了者
・2021年以降の賃貸不動産経営管理士合格者+2年以上の実務経験
・宅地建物取引士+2年以上の実務経験+管理業務に関する講習修了

※2年間の実務経験の代わりに実務講習修了もあり

実務経験のない宅建士が業務管理者になる場合、2つの講習を終了する必要があるというのがポイントだといえます。

そのほか、2020年以前の賃貸不動産経営管理士合格者で登録済みの人は、2時間程度の移行講習を修了することで、たとえ実務経験がなくても2年間の実務経験があるものと扱われることもポイントです。

例えば、管理業務の実務経験がない宅地建物取引士が、2020年以前の賃貸不動産経営管理士試験に合格し、宅建士資格で賃貸不動産経営管理士の登録をした場合には、移行講習を修了するだけで実務経験は不要ということになります。

最後までご覧いただきありがとうございます。

2020年度までに実施された賃貸不動産経営管理士の国家資格化に必要な移行講習についての記事を貼っておきます。

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