
合格までどれくらいの勉強時間が必要なんだろう…
宅建士やマンション管理士とか他の不動産資格との比較も知りたい。
管理業務主任者は、2000年に成立した「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」により作られた比較的新しい国家資格です。
同時にマンション管理士の資格も同じ法律によって制定されました。
この記事では、管理業務主任者試験の合格率、難易度、合格に必要な勉強時間、他不動産3資格(宅地建物取引士・マンション管理士・賃貸不動産経営管理士)との比較について解説しています。
筆者は、管理業務主任者・マンション管理士・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士にすべて独学で合格をしています。
管理業務主任者試験のことを知って対策をして試験を受験すれば、独学でも最短ルートでの合格が可能です。
【合格率・難易度・勉強時間】管理業務主任者試験について【他不動産3資格との比較】
管理業務主任者試験の合格率の推移
試験データは、一般社団法人マンション管理業教会のHPより参照しました。
実施年度 | 受験者 | 合格者 | 合格率 | 合格基準点 (50点満点) |
2001年 | 57,719人 | 33,742人 | 58.5% | 38点 |
2002年 | 35,287人 | 10,390人 | 29.4% | 33点 |
2003年 | 27,017人 | 5,651人 | 20.9% | 35点 |
2004年 | 24,104人 | 4,617人 | 19.2% | 37点 |
2005年 | 22,576人 | 5,019人 | 22.2% | 36点 |
2006年 | 20,830人 | 4,209人 | 20.2% | 33点 |
2007年 | 20,194人 | 4,497人 | 22.3% | 33点 |
2008年 | 20,215人 | 4,113人 | 20.3% | 34点 |
2009年 | 21,113人 | 4,329人 | 20.5% | 34点 |
2010年 | 20,620人 | 4,135人 | 20.1% | 36点 |
2011年 | 20,625人 | 4,278人 | 20.7% | 35点 |
2012年 | 19,460人 | 4,254人 | 21.9% | 37点 |
2013年 | 18,852人 | 4,241人 | 22.5% | 32点 |
2014年 | 17,444人 | 3,671人 | 21.0% | 35点 |
2015年 | 17,021人 | 4,053人 | 23.8% | 34点 |
2016年 | 16,952人 | 3,816人 | 22.5% | 35点 |
2017年 | 16,950人 | 3,679人 | 21.7% | 36点 |
2018年 | 16,249人 | 3,531人 | 21.7% | 33点 |
2019年 | 15,591人 | 3,617人 | 23.2% | 34点 |
2020年 | 15,667人 | 3,739人 | 23.9% | 37点 |
2021年 | 16,538人 | 3,203人 | 19.4% | 35点 |
2022年 | 16,217人 | 3,065人 | 18.9% | 36点 |
2022年度試験の合格者3,065人の内訳
男性 2,408人(合格率19.1%)
女性 657人(合格率18.3%)
合格者平均年齢44.0才
(男性45.3才 女性39.0才)
2021年度試験の合格者3,203人の内訳
男性 2,462人(合格率19.4%)
女性 741人(合格率19.4%)
合格者平均年齢42.8才
(男性44.5才 女性36.9才)
初年度試験は、別としておおむね受験者の上位20%を超えるラインで合格基準点を設定していることがわかります。
合格者の平均年齢は比較的高いこと、男性の受験者が多くなっています。
分譲マンション管理会社の従業員が必要なる資格制度上、管理会社の担当者(フロントと表現されたりします)に中高齢の男性が多いからという理由と不動産業界で働いている人のキャリアアップ、自己研鑽として取得している人が多いと推測します。
管理業務主任者試験の難易度
管理業務主任者試験は、国家資格(業務独占資格)です。
しっかりと対策して勉強をしないと合格はできない試験です。
合格率から見た難易度
・合格率はおおむね20%
・合格に必要な正答率はおおむね70%
管理業務主任者試験は、他の受験生との相対的な結果となるため、あらかじめ〇〇点以上が合格と決められていません。
直近10年間における合格基準点の平均点は34.8点です。
おおむね正答率70%で合格が可能な試験ということがわかります。
ただし、2020年度のように合格基準点37点という高得点もあります。
とはいえ、問題が比較的易しい年というだけで、得点上位20%以上に入れば合格できるということに変わりはありません。
必要な勉強時間から見た難易度
・宅地建物取引士とダブル受験の場合は、150時間が目安
・不動産他資格取得者は有利
管理業務主任者試験合格に必要な勉強時間については、初学者と既習者や他資格を取得している人でかなりのバラつきがあります。
完全な初学者は、勉強時間250時間が目安です。
宅地建物取引士と同年にダブル受験の場合、宅建士の試験範囲と重なる民法や区分所有法といった分野の勉強時間が削減できます。
宅建士の合格レベル者は、勉強時間150時間が目安です。
不動産の他資格やファイナンシャルプランニング技能士を取得していると、2つの理由から勉強時間が大幅に短縮できます。
2.立法目的・制度趣旨から問題を捉える力がついている
1つめは、単純に試験範囲の重なる部分について、そもそもの勉強時間が短縮できることです。
学習済みの範囲について、ゼロから学習をする必要がないため、いきなり問題演習にとりかかることができます。
2つめは、他資格の学習を通じて各法律の立法目的や制度趣旨を学ぶことにより、未修学の分野についても論点や重要な箇所について捉える力がつくことです。
初見の問題でも頭の中で論点がスムーズに整理されることにより、効率よく学習が進められます。
5問免除制度は魅力が無い
管理業務主任者試験には、宅建士試験のように5問免除の制度があります。
簡単に言うと、最後の出題5問を正解として扱ってもらえる制度です。
宅建士の試験では非常に有効な制度ですが、管理業務主任者試験での5問免除制度は魅力がありません。
・マンション管理士に合格しないと免除制度が利用できないこと
免除となる5問は、マンション管理の適正化法の分野です。
出題される問題は比較的易しく差がつきません。
また、免除制度を利用するには管理業務主任者試験より難易度が高いマンション管理士試験に合格する必要があるため、現実的ではありません。
他不動産3資格との比較
・マンション管理士
・賃貸不動産経営管理士
宅地建物取引士、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士は、管理業務主任者と親和性の高い資格です。
それぞれの資格について、簡単な内容と勉強時間の目安を比較表にしました。
合格率は2020年度を参照しています。
資格名 |
関連の不動産業種 |
合格率 |
勉強時間の目安 |
管理業務主任者 |
マンション管理会社(分譲) |
18.9% |
250時間 |
マンション管理士 |
マンション組合のコンサル |
11.5% |
600時間 |
宅地建物取引士 |
宅建業者(仲介・売買) |
17.0% |
300時間 |
賃貸不動産経営管理士 |
賃貸物件の管理会社 |
27.7% |
150時間 |
管理業務主任者試験を基準に考えると、賃貸不動産経営管理士は易しい部類になります。
ただし、賃貸不動産経営管理士は年々難化傾向にあり、2021年から国家資格化されたため、今後は管理業務主任者と同等レベルになるのではないかと予想しています。
よく宅建士と管理業務主任者どちらが難しいかと聞かれますが、宅建士の方がやや難しいと判断します。
理由は、合格率が低いのと出題の最後5問について対策が難しいからです。
マンション管理士は、管理業務主任者試験と同じ出題範囲ですが、全体的に問題が難しくなるうえ、合格率が一桁という点から、管理業務主任者よりもかなり難しい試験です。
とはいえ、管理業務主任者試験対策=マンション管理士試験対策となります。
マンション管理士合格を目指す人は、管理業務主任者試験の勉強をしっかりすることをおすすめします。
管理業務主任者試験を受験する人は、不動産業界で働いている人が多いのではないでしょうか。
不動産業従事者以外でも、上記3つの資格に関心のある人が多いと思います。
特に、管理業務主任者・マンション管理士・宅地建物取引士の3つを取得することを「不動産三冠資格」や「トリプルクラウン」と言われたりします。
三冠を目標としている人は、最短ルートでの合格方法に関する以下の記事を参考にしてください。
»【トリプルクラウン】不動産三冠資格を取得する最短ルートの合格方法
まとめ
・難易度は普通
・勉強時間は250時間
・不動産の他資格と親和性あり
管理業務主任者は、しっかりと学習をすることで独学でも合格できる資格です。
管理業務主任者試験に独学で受験するときにおすすめのテキスト・問題集を以下の記事でご紹介していますので参考にしてください。
通信講座を受講しようとする人
管理業務主任者・マンション管理士の通信講座を受講しようと思うけど、どれを選べばいいのだろう…自分に合った講座や選び方のポイントを知りたいな…
管理業務主任者は、マンション管理会社に必須の資格です。[…]
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管理業務主任者は、他の不動産資格と親和性のある資格ですので、ステップアップや自己研鑽にもとてもよい資格です。
試験の概要について知りたい人は、以下の記事を参考にしてください。
»管理業務主任者試験の概要【なぜ必要?有資格者ができることの解説】
管理業務主任者に合格するためのロードマップは以下の記事で解説しています。
»【完全版】管理業務主任者試験に合格するためのロードマップを徹底解説